中古の不動産価格が上昇している昨今、ご自宅や分譲マンションの売却をご検討中の方で、以下のようなお悩みがある方は多いのではないでしょうか。
- 住み替えを考えているため、持っている家やマンションをなるべく高く売却したい
- 不動産売却にあたりどの様な準備が必要か知りたい
- 空き家を相続したが、売却の手順が分からない
不動産管理の業界で25年勤務した経歴と、宅建士・管理業務主任者・賃貸不動産経営管理士・競売不動産主任者など不動産系の資格者として、家やマンションなどの不動産売却についての手順を解説させて頂きます。
この記事では、夫婦ともに宅建士資格を持ち、プライベートで4件の不動産を売買した経験を基に、不動産の売却のための実践術を惜しみなく出します。
最後までお読み頂ければ、どなたでも無駄なお金を掛けずに不動産(一軒家、分譲マンション)を相場より高く売却できるようになります。
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売却準備編
まずは売却準備編です。売却活動を始める前にするべき実践術です。
※以降、居住中の物件を売却する前提で解説いたしますのでご了承下さい。
全ての部屋を掃除する
まずは全ての部屋の掃除をします。できる限りキレイにします。特に水回りの掃除は入念にする。ほこりを除去した後は、床は磨き、水回りの金属部分は水垢を取り光らせるようにします。
費用をかけてハウスクリーニングする必要はありません。ご自身でできる範囲でキレイにすれば問題ありません。
ベランダ・収納棚・押し入れの中を整理する
ベランダ・収納棚・押し入れの中を整理します。少なくとも他人に見せられる状態にまで整理してください。キッチンや洗面所のシンク下も、忘れずにキレイにしておきましょう。
家にある不用品を処分する
部屋を片付けます。家具や家電など不用品があったら処分してください。床はなるべく多く見せられるようにしてください。そうすることで部屋をより広く見せることができます。
壊れている場所はできるだけ直す
部屋の中で壊れているところがあったら、ご自身で直せる範囲であれば直しておいてください。フローリングの凹みや壁紙の部分剝がれなどはDIYで簡易的に直せます。決して大規模な修繕は必要ありません。
不動産の売却価格の相場を調べる
大手不動産取引サイトのSUUMOや国土交通省の不動産取引価格情報検索で、ご自身の所有している物件と似たような立地や広さの物件の価格を調べます。これは後々役に立ちます。
売主としての心得と内見に向けての準備
売却活動に入る前に「売主としての心得」について言及しておきます。
売主としての心得
これから不動産業者を通じて物件の売却について進めることになりますが、不動産業者は売主をお客様としてとても丁寧に扱ってくれます。しかし、その不動産業者が物件の内見(購入のための見学)に連れてくるお客様は、売主にとってもお客様に当たります。
不動産業者が売主を丁寧に扱ってくれるように、売主も見学者の方をお客様だと思って、丁寧な対応を心掛けてください。「自分は不動産業者にとっては客だから」と思って横柄な態度をしていると、せっかく物件が良くても、買主に「この方からは買いたくない」と思われたら売買は成立しません。
物件を売却するためには売主にもそういった対応や心掛けが必要ですので、くれぐれも丁寧に対応して下さい。不動産業者は物件を売却するためのパートナーです。
私たち夫婦が内見に向けて準備したこと
ここでは私たち夫婦が内見に向けて準備したことをお伝えさえて頂きます。
内見用のスリッパを準備する
見学者用のスリッパは不動産業者が準備してくれることが多いですが、中にはスリッパの準備すらしてくれない不動産業者もいますので、見学者用のスリッパを何足が準備しておくことをおすすめします。
あらかじめスリッパが準備してあると見学者に印象も良いかと思います。私たちは4足のスリッパを用意していました。それでも足りない場合は、不動産業者が持参したスリッパをお借りしていました。
内見が決まったら不動産業者から見学者は何名か聞くようにしてください。当日の見学者は事前に聞いていた人数+1~2名のことが多かったですので、併せてお伝えしておきます。
ウェルカムボードを作成し、玄関に置く
見学者のためにウェルカムボードを作りました。
玄関の靴箱の上に、「本日は内見にお越しいただきありがとうございます。どうぞごゆっくりご見学ください」と一言添えた小さなウェルカムボードを作り置いていました。
こんな感じのウェルカムボードです。見学者の立場で考えても、あっても悪い気はしませんよね。
内装や設備の修繕履歴表を作成する
物件のスペックや立地はもちろんですが、買主にとっては内装や設備がどのような使われ方をしていたかも気になるところです。私たち夫婦は内装や設備修繕履歴が分かる表を作成しました。A4用紙1枚で構いません。
「マイソク」と呼ばれる、物件の概要、間取り、地図などをまとめた資料は不動産業者が作成してくれます。
補足資料として、壁紙はいつ貼り替えたか、給湯器はいつ交換したか、製品はどこのメーカーかなど、エクセルで簡単に表にまとめてプリントアウトし、内見時にお渡ししました。
内見のお礼の品
内見に来ていただいた方のために、帰り際にお礼の品とし500円分のクオカードを準備しました。
見学者の方にはもれなく1枚お渡しました。物件の売却額からしたら、大したことない費用です。見学に来て頂いた感謝の気持ちと、売主の熱意を見せるための粗品です。通常10枚準備していましたが、大体2~3件で成約します。残ったクオカードは自分たちで使用しています。
以上の4点を準備して見学者をお迎えしました。
ここまですると仲介を依頼している不動産業者にも驚かれました。
「ここまで準備して頂ける売主さんはなかなかいません。」と言われましたし、「ご主人はどんな仕事をされている方ですか?」と聞かれたりもしました。「売主さんの熱意が伝わり助かります」と好評でした。
売却活動編
物件の売却価格査定を依頼する(複数社が望ましい)
まずは不動産業者へ物件の売却価格の査定を依頼し、どこの不動産業者に仲介を依頼するか決めます。できるだけ2社以上へ売却価格査定依頼して下さい。
どこの業者も近い感じの査定額を算出してくるかと思います。査定額の高かった業者を優先することがない様、ご自身で調べた相場とかけ離れていないか確認してください。
媒介契約を取りたいが故に高額な査定額を付けてくる業者もいますが、決してその額で売れる自信がある業者という訳ではありませんのでご注意ください。
不動産業者と不動産媒介契約(専任媒介、一般媒介)する
物件を売却するには一般的に不動産業者と媒介契約(仲介契約)が必要です。
媒介契約には一般媒介・専任媒介・専属専任媒介の3種類があり、どれかを選択することになります。査定価格の依頼結果と、以下の内容をご参考に一般媒介にするか、専任(専属専任)媒介にするか決めて下さい。
媒介契約では費用は発生しません。不動産売買が成立した際に、仲介手数料を不動産業者へ支払う形になります。
媒介形態:一般媒介とは
(メリット)複数の不動産業者へ仲介を依頼することができます。「物件の囲い込み」と言われる不動産業界の悪しき習慣(最近では減っていますが)による影響を受けづらい媒介方法です。
(デメリット)多くの不動産業者とやり取りをする必要がある。売主からの仲介手数料しかもらえない可能性があり、不動産業者のモチベーションが下がる。積極的に営業活動をしてもらえない。
媒介形態:専任・専属専任媒介とは
(メリット)複数の業者とやり取りする必要がない。売主・買主から仲介手数料がもらえる可能性があり不動産業者のモチベーションが上がり、熱心に売却活動をしてもらえる。
(デメリット)自分の会社に問い合わせのあった顧客を優先する「物件の囲い込み」をされる可能性がある。専属専任媒介は自分で見つけた買主と直接契約ができず、不動産業者を通した取引が必要になる。
売却経験者からのアドバイス
私たち夫婦は3社に査定依頼し、対応の良かった不動産業者1社と専属・専任媒介契約しました。
多くの業者とのやり取りが苦にならなければ「一般媒介」で複数の業者と、なるべく手間を省きたい方や営業担当者との相性が良ければ「専任・専属専任媒介」を選択するといいと思います。
不動産業者の担当者はできる限り「専属専任媒介」を取ってくるよう会社から指示を受けていますので、大体こちらの媒介契約でお願いされることが多いです。
どの媒介契約でも不動産ポータルサイトにしっかり掲載されていれば、広く一般に募集されていますので、ご安心下さい。
不動産会社に売買依頼をする際には、「物件の囲い込み」をする業者でないか、十分に注意することが必要です。契約の前に「囲い込みはありませんよね?」とクギを刺しておいてもいいかと思います。
おすすめ不動産業者【不動産の売却なら三井のリハウス】
不動産のご売却は三井のリハウスへ!
- 最新の不動産市況はもちろん、地域密着型のネットワークを活かし、街の情報なども熟知した経験豊富なスタッフがお客様の不動産売却をお手伝いしてくれます。
- 設定金額を誤ると、当初の希望価格からも安く、売却期間も長期化してしまうことがあります。三井のリハウスは、適正価格でのスピード成約を実現してくれます。約64%のお客様が2ヶ月以内に成約に至っています。
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媒介業者への確認事項
媒介契約を検討している不動産業者には、不動産ポータルサイトはどこのサイトに載せるか確認してください。SUUMO(スーモ)、at home(アットホーム)、LIFUL HOME’S(ライフルホームズ)のうち、少なくとも2社のサイトに掲載されるどうか確認してください。
物件の価格を設定する
物件売却開始後はやや強気の価格設定で問題ありません。売却を急いでいない場合は、まず最初の3ヶ月は値引き交渉がある前提でこの価格で売れたら嬉しいという価格で設定します。その後、内見申し込みの状況を見て徐々に下げていく形で宜しいかと思います。
相場の5~10%を目安に上乗せ価格を設定して様子を見てください。
例)査定価格3,000万円の場合、売出価格3,150~3,300万円程度
内見の申し込み状況を見ながら、あまりにも反応がないようであれば、物件の価値とかけ離れている可能性もありますので、5%を目安に値下げを検討すればいいかと思います。
ポータルサイトで掲載された物件情報を確認する
不動産業者と媒介契約が完了すると数日中に不動産情報ポータルサイトに物件の情報が掲載されます。掲載されていない場合は、いつ頃掲載されるか確認します。
掲載されている場合は掲載内容に現状と食い違いがないか確認し、内容が異なる様であれば訂正して頂くよう依頼しましょう。目安として1~2日中には修正頂けるかと思います。
不動産売買の繁忙期を把握する
不動産売買の繁忙期には春(4月)と秋(9月)の転勤シーズン頃の動きが盛んです。このタイミングの売買を逃すとやや時間がかかるイメージがありますのでご承知ください。
内見当日の対応
内見当日は不動産業者と一緒に物件を案内しますので、丁寧な対応を心掛けてください。
可能であれば女性が対応する
ご夫婦であれば、奥様が対応することをおすすめします。家のことは奥様が一番知っていますし、印象も女性の方が柔らかいので、奥様に任せましょう。私(男性)も内見時は外出し妻に対応を任せていました。
できるだけ生活感を出さない
できるだけ生活感を出さない方が良いです。
- テーブルの上には何も乗せない
- カーテンを開け、全ての照明を点灯する
- ラグやマットは一時的に片付ける。床面をより多く見せるようにする
- エアコン(冷暖房)を運転する。
- 換気したり、消臭剤などで部屋の臭いが気にならないようにする。ソファなどの布製品なども事前に消臭剤でニオイを解消しておきましょう。
全ての部屋と収納の中を見せる
全ての部屋と収納の中を見せるようにしてください。見せられない部屋や収納があれば、その物件は絶対に売れません。
見学者の性格にもよりますが、居住中の物件の見学に消極的な方もいますので、売主が積極的に部屋や収納を開けて見せてくあげてださい。時には収納を勝手に開けられることがあるかもしれませんが、嫌な顔をせず「そういうタイプの方なんだ」と思ってご案内してください。
故障している設備や傷がある場所はしっかり説明する
故障している設備や傷がある場所はしっかりと説明しましょう。物件の印象が悪くなりそうな気がしますが、そうすることで「不具合を隠していない良心的な方」と売主を信頼して頂けます。
共用部も必ず案内する
マンションであれば共用部や集合ポストや駐車場なども案内してください。
売主は出しゃばり過ぎない
これまで見学者に丁寧な案内が必要とは説明させて頂きましたが、意味を履き違えて売主がいろいろと出しゃばり過ぎないようにしてください。
物件の良いところばかりを説明したり、お買い得な価格ですと押し付けたり、聞いてもいないことをペラペラとおしゃべりすることは避けてください。それぞれの買主に合わせ、寄り添った対応を心掛けてください。
見学者からの質問と過去に聞かれたこと(例)
物件の概要は不動産業者から見学者に説明がありますが、物件独自の情報などは売主に質問がありますので、分かる範囲で答えてください。以下に過去に聞かれたことのある質問の例を挙げさせていただきます。
- 近くのスーパーマーケットはどこか? →よく行っているスーパーや徒歩圏内にあるコンビニなど教えてあげてください。
- 最寄りのバス停はどこか、何分に1本あるか →事前に把握しておくと良いです。
- 近隣に変な人はいないか? →購入者は特に気になる情報です。住人でしか知りえない情報ですので、特にいなければ「いないので安心してください」と教えてあげてください。
- 近くの公園はどこですか? →子育て世帯は気になるものです。
- マンションの場合、住民で構成する管理組合の雰囲気や役員の役割なども聞かれたこともあります。
買主との売買契約~引き渡しについて
値引き交渉への対応
買主より値引き交渉があった場合は、できる範囲で応じてあげましょう。あまりにも無理な要望であればお断りしてください。売却価格の5%以下の値引き要望でしたら、それほど無理な要望ではないと判断してください。
例)設定価格3,000万円の場合、値下げの要望は2,850万円までなら可
私たちの経験としては、最終的に買主の気持ちに寄り添い1%ほど値下げして売買が成立したこともありました。
買主との売買契約手続き・決済手続き・物件の引き渡し
売買契約が成立したら、不動産業者や司法書士の指示に従って必要書類を整えた上で、不動産決済手続き、物件の引き渡しを行ってください。
【一言アドバイス】
丁寧な対応を心掛けても物件の売却はなかなか成立しないものです。売却開始後に購入の申し込みはあったものの、購入者の家庭の事情や住宅ローンの審査が通らずキャンセルということも、業界では頻繁にあります。
私も何度もそのような経験をしました。ですので、購入の申し込みがあっても油断は禁物です。何事も焦らずに対応してください。キャンセルとなっても、気持ちを切り替えて売却活動を続けてください。
やらなくても良いこと
内装改装
壁紙の貼り替えや畳の表替えなど、内装業者に依頼しての内装改装は不要です。現状をきれいにするだけで十分です。内装には好みがありますので、買主が購入後に対応します。
設備交換
ガス器具やウォシュレットなどの設備が壊れている場合、新品に交換する必要はありません。壊れているは場所は、内見時に説明してください。
物件を早期に高く売却するための結論
より高く売却するために物件をきれいに見せることは最低限の手段です。
不動産を売却した経験の中で、売買契約の際に買主から「この物件の購入の最終的な決め手は奥様でした。見学の時にとても丁寧に対応してくれてこの物件にしようと思いました。」と一言頂けましたこともありました。
いろいろな方法を実践をしてきましたが、結局「この人から買いたい」「この人からなら買っても良い」と思っていただけることが大切だと実感した次第です。
この記事が皆様の不動産売却の後押しと役に立てれば幸いです。
以上、不動産売却の実践術について解説させていただきました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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