ビルメンテナンス、ビル管理、設備管理、不動産管理などの仕事をする上で、その業務に関連した資格を取ることは、知識や技術を身に付けるためにも大切なことです。しかしながら以下のようなお悩みはありませんでしょうか。
- 資格を取得するために勉強するのが面倒、勉強する時間がない
- 勉強しても合格できるかどうか不安
- まずはどんな資格でも良いので合格して自信をつけたい
- 少しでも昇給、昇進、就職、転職に役に立つ資格が取りたい
この記事では、ビルメンテナンス業界にお勤めの方や転職をお考えの方に、講習で簡単に取得可能なビルメン資格4種類をご紹介いたします。
私が資格を取得した経験を基に、酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者、有機溶剤作業主任者、特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者、石綿作業主任者の4つの資格について、取得方法とビルメンテナンス業との関連性について解説いたします。
各都道府県で受講の手順が異なりますので、東京都の例を参考に取得方法を解説させて頂きます。本ページはアフィリエイト広告を利用しています。
講習で取得可能なビルメン資格4種類
4種類の資格取得をおすすめする理由
この4種類の資格取得をおすすめする理由は3つあります。
- 講習を受けるだけで簡単に資格が取得できる。
- この資格はビルメンテナンス業に勤めている方が業務を行う上で役に立つ。
- 私自身がこの資格を取得して良かったと思えた。
私がこの4種類の資格を取った経緯は、ビルメンテナンス業での経験が浅かったので、自己啓発として知識を得るために自主的(自己負担)に受講しました。
講習2~3日で簡単に取得でき、かつ資格取得後に実際に業務で知識が役に立った経験がありますので、自信を持っておすすめできる資格です。
余談ですが、トヨタ自動車(自動車整備)に勤める知人も、就職前にこちらの資格を取得したと聞いていますので、社会的にも求められている資格だと感じています。
4種類の資格(技能講習)とその内容
酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者
「酸素欠乏危険作業主任者」とは、トンネルや下水道などの酸素欠乏・硫化水素中毒危険作業場所での作業で、①酸素欠乏等の空気を吸入しないように、作業方法を決定し、労働者を指揮し、②作業を行う場所の空気中の酸素及び硫化水素の濃度を測定し、③測定器具、換気装置、空気呼吸器等その他酸素欠乏症を防止するための器具または設備を点検、④空気呼吸器等の使用状況の監視を行う責任者です。
<ビルメンテナンス業・不動産管理業との関連性>
酸欠や硫化水素が発生する恐れがある作業や場所で監視を行う責任者資格です。建築物衛生法に基づき実施される汚水槽・排水槽・受水槽・高架水槽(高置水槽)などの水槽清掃作業は、酸欠や硫化水素が発生する恐れがある作業ですので、資格の知識があると事故を防止することができます。
有機溶剤作業主任者
「有機溶剤作業主任者」とは、①作業に用いる有機溶剤による汚染や溶剤の吸入を防いだ作業方法を決定し、従事労働者の作業を指揮するほか、②局所排気装置、プッシュプル型換気装置又は全体換気装置を1カ月を超えない期間ごとの点検、③保護具の使用状況の監視、④タンクの内部における作業に対し有機溶剤中毒防止措置が講じられていることの確認を行う責任者です。
事業者は、労働災害を防止するため、屋内作業場又はタンク、船倉若しくは坑の内部などの場所において、有機溶剤を製造し、又は取り扱う業務で、厚生労働省令で定める作業については、「有機溶剤作業主任者」を選任し、当該作業に従事する労働者の指揮などを行わせなければなりません。
<ビルメンテナンス業・不動産管理業との関連性>
工事や作業で塗料、防水塗料、接着剤などの有機溶剤を使用する際に監視を行う責任者資格です。ビルメンテナンス業においても内装工事・塗装工事などで資格の知識があると有機溶剤による中毒を防止することができます。
特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者
「特定化学物質作業主任者」及び「四アルキル鉛等作業主任者」とは、①作業に従事する労働者が特定化学物質や四アルキル鉛により汚染され、またはこれを吸入しないように、作業の方法を決定し、労働者を指揮し、②局所排気装置、プッシュプル型換気装置、除じん装置、排ガス処理装置、排液処理装置その他労働者が健康障害を受けることを予防するための装置の点検、③保護具の使用状況の監視のほか、特定化学物質作業主任者にあっては④タンク等の内部において特別有機溶剤業務に労働者が従事するときは、有機則に定める措置が講じられていることを確認し、四アルキル鉛等作業主任者にあっては⑤四アルキル鉛中毒のおそれがあるとき等には当該作業場所から退避させ、労働者の身体・衣類が汚染されていることを発見したときには汚染除去等の緊急対応を行う責任者です。
事業者は、労働災害を防止するため、一定の有害な化学物質や四アルキル鉛の含有物を製造し、又は取扱う作業については、「特定化学物質作業主任者」「四アルキル鉛等作業主任者」を選任し、その者に当該作業に従事する労働者の指揮などを行わせなければなりません。
<ビルメンテナンス業・不動産管理業との関連性>
特定化学物質には様々なものがありますが、代表的な物質としてはポリ塩化ビフェニル(PCB)やホルムアルデヒドが有名です。ビルメンテナンス業としては、PCB含有製品の保管・処分や飲料水の水質検査項目や大規模改装後のホルムアルデヒド測定などで関連性があります。
石綿作業主任者
「石綿作業主任者」とは①作業に従事する労働者が石綿等の粉じんにより汚染され、又はこれらを吸入しないように、作業の方法を決定し、労働者を指揮し、②局所排気装置、プッシュプル型換気装置、除じん装置その他労働者が健康障害を受けることを予防するための装置を、1ヵ月を超えない期間ごとに点検、③保護具の使用状況を監視する責任者です。
事業者は、労働災害を防止するため、工場、建築物等の解体・改修工事現場などで、石綿を取り扱う作業については「石綿作業主任者」を選任し、その者に当該作業に従事する労働者の指揮などの事項を行わせなければなりません。
<ビルメンテナンス業・不動産管理業との関連性>
古い建物の建材に使用されていた石綿(いしわた)は、調査・研究によりその有害性が判明しています。石綿を含む古い建物の内装工事や解体工事などを行う場合は、作業主任者の選任が必要になることとその防止法を知っておくべきです。
労働基準協会が開催する4種類以外の資格取得の必要性
労働基準協会では、その他にも各種技能講習や特別講習を開催していますが、ビルメンテナンス業で必要な知識や技能は、この4種類で十分ですので、それ以外の資格を取得する必要はありません。
その他の技能講習は各種工場で働く方向けの資格が多いため、工場勤めをお考えの方はその他の資格を取得しても宜しいかと思います。
資格の取得方法と取得費用
この4種類の資格取得は共通して公益社団法人東京労働基準協会連合会が開催しています。※開催団体は都道府県によって異なります。
受講資格は特に必要ありません。
受講の申し込みは、インターネットによる申込みと書面(申込書の利用)による申込みの2つの方法があります。
酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者資格の取得方法と取得費用
- 学科講習(2日間)、実技講習(1日間)
- 受講料 20,900円、テキスト 2,310円、 合計23,210円(税込み)
- 受講日程と申し込み方法の詳細は以下をご確認下さい。
有機溶剤作業主任者資格の取得方法と取得費用
- 学科講習(2日間)
- 受講料 13,200円、テキスト 1,980円、 合計15,180円(税込み)
- 受講日程と申し込み方法の詳細は以下をご確認下さい。
特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者資格の取得方法と取得費用
- 学科講習(2日間)
- 受講料 13,200円、テキスト 1,980円、 合計15,180円(税込み)
- 受講日程と申し込み方法の詳細は以下をご確認下さい。
石綿作業主任者技能講習資格の取得方法と取得費用
- 学科講習(2日間)
- 受講料 13,200円、テキスト 1,980円、 合計15,180円(税込み)
- 受講日程と申し込み方法の詳細は以下をご確認下さい。
この講習で学べること
酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者資格講習で学べること
- 酸素欠乏症、硫化水素中毒及び救急そ生に関する知識 3時間
- 酸素欠乏及び硫化水素の発生の原因及び防止措置に関する知識 4時間
- 保護具に関する知識 2時間
- 関係法令 2時間30分
- 修了試験 1時間
- 実技講習(1日間 )
- 救急そ生の方法 2時間
- 酸素及び硫化水素の濃度の測定方法 2時間
- 修了試験 1時間
有機溶剤作業主任者資格講習で学べること
- 健康障害及びその予防措置に関する知識 4時間
- 保護具に関する知識 2時間
- 作業環境の改善方法に関する知識 4時間
- 関係法令 2時間
- 修了試験 1時間
特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者資格講習で学べること
- 健康障害及びその予防措置に関する知識 4時間
- 保護具に関する知識 2時間
- 作業環境の改善方法に関する知識 4時間
- 関係法令 2時間
- 修了試験 1時間
石綿作業主任者技能講習資格講習で学べること
- 健康障害及びその予防措置に関する知識 2時間
- 保護具に関する知識 2時間
- 作業環境の改善方法に関する知識 4時間
- 関係法令 2時間
- 修了試験 1時間
講習の合否について
講習を最後まで受講し、修了試験に合格できれば資格が取得できます。
修了試験は簡単な筆記テストです。合格率は公表されていませんが、遅刻や欠席をしなければ合格率はほぼ100%に近いと思いますので、安心して受験してください。
講習終了後に修了試験の合否が発表され、その日のうちに作業主任者証が渡されます。
資格の維持費について
講習で取得する資格は、その資格を維持するために定期的な講習や研修が必要になりますが、こちらの資格は特にそういった再講習はありません。
資格を取得した後は特に維持費はかからず、永久に有効です。
取得後の資格の活用について
これらの資格は現場作業者(施工業者)の責任者だけでなく、ビルなどの不動産を管理する側も知識として持っておくべき資格です。各種作業において施工業者(工事会社)や作業員が誤った作業をしていないかどうか判断するためにも、この4種類の講習を受ける意義があります。
実際に講習を受けるとお分かりいただけるかと思いますが、人の命にも直結する重要な技能者資格です。過去の事故事例から安全管理を学び、一人の資格者としてだけではなく、会社の社会的信用や企業価値維持のためにコンプライアンスに基づいた行動を心掛けて頂ければと思います。
詳細は都道府県の労働基準協会のホームページをご確認下さい。
以上、皆様の資格取得のお役に立てたら幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。
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